5日5日の「端午の節句」、皆さんはどのようにお祝いしていますか?
3月のお雛祭りに対し、男の子の成長を祝う日として知られていますが、昔からそうなのでしょうか?
今回の記事では、意外と詳しくは知らないことの多い端午の節句の意味と由来について詳しく解説します。
また、今まで曖昧に過ごしてきた方も多いと思われる、五月人形や鯉のぼりに関する決まりや、新米ママ必見の初節句のマナーなども併せて分かりやすくご説明していきます^^。
端午の節句ってどんな意味?何を祝うの?
そもそも、
「端午」や「節句」とは何なのでしょうか?
昔も今も祝う対象は同じなのでしょうか?
端午の節句の歴史を、少し紐解いてみましょう。
端午の節句はなぜ5月5日なの?
「節句」とは、季節の節目に、無病息災や子孫繁栄、豊穣などを祈る年中行事です。日本には全部で十二節句ありますが、特に重要な節句を「五節句」と呼び、端午の節句はその中の一つです。
五節句は中国から伝わったものなので、当然中国にも「端午節」というものがあります。日本の「端午の節句」は、奈良時代に中国から伝わったと考えられています。
では「端午」とはどのような意味なのでしょうか?「端」という字には「はじめ」という意味があります。
「端午」は本来、「月の初めの午(うま)の日」という意味で、5月に限ったことではありませんでした。
しかし、「午」と「五」の読み方が同じであるため、いつしか毎月5日を指すようになり、やがて5月5日が「端午の節句」ということになりました。
なお、中国の場合は旧暦で祝うため、太陽暦に当てはめると毎年日にちが変わります。
奈良時代の魔除けの行事が男児の成長を祈る行事に変化しました
端午の節句が中国から伝わった奈良時代において、端午の節句は単に無病息災や五穀豊穣などを祈る行事でした。当時は強い香気を放つ「菖蒲」を軒下に下げて邪気を払う風習があり、「端午の節句」を「菖蒲の節句」とも呼んでいました。
そして時代が武家社会に移ると、「菖蒲」と「尚武(武士を尊ぶの意味)」の読み方が同じであることから、「尚武の節句」と呼ぶようになり、次第に行事の武断的要素が色濃くなりました。
この流れは江戸時代になっても続き、「端午の節句」が「男の子の成長を祝う節句」とはっきり成り立ったのも江戸時代だと言われています。
端午の節句に男児の身を守る鎧兜を飾ったり、鯉のぼりを立てて男児の立身出世を祈る風習も、江戸時代から始まったと言われています。
奈良時代から端午の節句に欠かせなかった「菖蒲」は、現代でも「菖蒲湯」として端午の節句で活躍しています。菖蒲湯とは「菖蒲の強い香りで厄を払う」という意味が込められています。
端午の節句にはどんな食べ物を用意するの?
端午の節句に欠かせない食べ物と言えば、「柏餅」と「ちまき」です。
柏餅を食べるのは日本独自の習慣です。柏の木は新芽が出るまで葉を落とさないため、子孫を絶やさないという意味を込めて食べられてきました。
ちなみに「ちまき」を食べる習慣は中国から伝わったものです。古代中国の故事に由来しており、邪鬼払いのため、男女関係なく家族でいただくものです。
ちょっと脱線…なぜ「ちまき」を食べるの?
前述の通り、端午の節句でちまきを食べるようになったのは、中国の故事にちなんでいます。
時代は春秋戦国時代に遡ります。楚の政治家であった屈原(紀元前343年1月21日頃~紀元前278年5月5日頃)は、国の行く末と左遷されたわが身を憂い、左遷先の江南で入水自殺をしました。
屈原は民衆に人気がある政治家で、屈原の自殺を知った民たちは、急いでボートで川に入り、屈原の救出を試みました。
しかし、屈原は見つからず、その遺体が川の生き物に食べられては忍びないと考えた民たちは、ボートの上で太鼓を鳴らして威嚇し、更に「ちまき」を川に投げ込み、川の生き物の注意を屈原から逸らしたのです。
屈原が川に身を投じたのは、端午節の日でした。こうして、当時保存食として食べられていた「ちまき」は、屈原の死を悼む民衆によって、端午節に食べる食べ物としても扱われるようになったのです。
なお、ボートの上で太鼓を鳴らした故事は、今でもドラゴンボートレースとして残っています。
筆者が香港で住んでいたマンションは海沿いにあり、端午節が近づくと、ドラゴンボートレースの国際大会が開かれていました。あまり知られていませんが、日本チームも、もちろん参加していました。
ドンドコドンドコとリズムよく鳴り響く太鼓の音を聞いていると、当時民衆がどれだけ必死な思いで屈原を守ろうとしたか、ひしひしと伝わって来ます。
端午の節句にちまきを食べる機会があれば、「民の人」屈原の命を懸けて訴えた悲しみと愛国の心に、思いを馳せても良いかもしれませんね^^。
五月人形や鯉のぼりの選び方は?誰が買うの?いつから飾るの?
男の子がいれば、端午の節句に鎧兜や鯉のぼりを飾るお家は多いですよね。
しかし、これらを子供に用意する際のルールや、飾る時期など、皆さんはきちんと知っていますか?
五月人形は一人一飾りが基本です
甲冑飾りや兜、武者人形、虎の張子など、端午の節句に飾るためのものを「五月人形」と言います。これらには子どもの成長を祈り、子どもの身代わりになって厄を引き受けるという意味があります。
したがって、一人一飾りが基本です。父親の五月人形は父親の厄を引き受けています。子どもに受け継ぐことはできませんので、子どもには子どもの五月人形を用意してあげましょう。
もし男の子の兄弟が複数いる場合は、長男に甲冑飾りや兜を購入し、次男以降は武者人形や破魔矢の飾りなどを購入する家庭もあります。
最近の住宅事情で、全ての兄弟に鎧兜を用意することが難しくなりました。兄弟間で不公平感が出ないよう、工夫して揃えてあげましょう。
五月人形や鯉のぼりは誰が買うの?父方実家?母方実家?
五月人形や鯉のぼりは、母方の実家で用意するのが本来の習慣です。雛人形も同様です。しかし近年、両家で話し合ってどちらが買うか決めたり、折半するケースも珍しくありません。
節句飾りをどちらが買うかは、親族間の諍いの種になりやすいと言われています><。どちらの実家が買うにしても、十分に話し合い、両家納得の上で購入するようにしましょう。
せっかくの子供(孫)のための行事が親族間の揉め事につながってしまっては悲しすぎますからね・・・。
尚、一部の地域には、五月人形を父方実家、雛人形を母方実家が贈る習慣があります。とはいえ、これは一般的ではありません。五月人形だからと言って、話し合いもなしに父方実家に要求すれば、「礼儀を知らない」と取られかねないので、両実家の考えをしっかりヒアリングしてくださいね。
五月人形や鯉のぼりはいつから飾るの?
五月人形や鯉のぼりを飾り始める時期については諸説ありますが、最も一般的な時期は、「春分の日が明けてから飾る」というものです。
具体的には、3月の下旬から4月の中旬頃までに飾り始めます。端午の節句までの約1カ月間飾り、子どもの成長を祝いましょう。縁起を担ぐ人は「大安」を選んで飾り始めることもあるようです。
五月人形は雛人形と違い、節句の日が過ぎたら直ちにしまわなければいけないということはありません。
しかし、長時間飾っていると破損や劣化の原因になります。端午の節句が過ぎたら、天気の良いカラッとした日を選んで収納してくださいね。
鯉のぼりの飾り方や方角については以下の記事も参考にしてみてください^^。
初節句のお祝い 何をすればいいの?お祝いをもらったらお返しはどうする?
新米ママにとっては大仕事となるかもしれない、「初節句」のお祝い。どのようにお祝いしたらよいのでしょうか。また、お祝いを貰ったらどのように対応すれば良いのでしょうか。
お祝いの食事会を催すことが多いようです
初節句の場合、特別にお祝いの食事会を設けることが多いです。両家の祖父母や近しい親族を招いて、鎧や兜を披露し、皆で食事をして初節句を祝うのです。
中にはお祝いの料理を作る自信がないという方もいるでしょう。最近は、初節句祝い用のメニューを用意している料亭やレストランもあります。食事会を外で済ませることに抵抗がある方は、ケータリングサービスを利用しても良いでしょう。
ママの大きな負担にならないように、使えるサービスは大いに利用しましょう。
食事会で盛り上がるスペシャル料理をご紹介
端午の節句を彩る料理には、鯛の姿焼きや赤飯、ちらし寿司のほかに、前述の柏餅やちまきがあります。
また、縁起物の食材を使った料理も良いでしょう。
- 筍は「元気にまっすぐ育つように」
- 海老は「腰が曲がるまで(老人になるまで)元気に」
- 鰤は「立身出世」
といったような意味があります。
初節句ならではのちょっと工夫した料理で、食事会を盛り上げても良いでしょう。簡単で可愛らしい料理を二品、ご紹介します。
兜の春巻き
- 通常の春巻きの具を作り、冷ましておきます。
- 春巻きの皮を一枚とり、折り紙で作る兜の要領で折っていきます。
- 兜の中に具を詰め、水溶き片栗粉で口をしっかり閉じます。
- 多めに油をひいたフライパンで、きつね色になるまで両面しっかり焼きます。
油で揚げると破裂しやすいので、フライパンで揚げ焼きしましょう。
鯉のぼりのロールケーキ
- 市販のロールケーキを買ってきます。
- ロールケーキの周りに生クリームを薄く塗っていきます。
- イチゴを3ミリ程度の厚さに縦にスライスします。
- スライスしたイチゴをロールケーキに鱗のように貼り付けていきます。鯉の頭になる部分には貼り付けず、残りの2/3程度に貼り付けます。
- M&Mチョコレートを目の部分に貼り付け、三日月状に切ったイチゴをエラの部分に貼り付けます。
筆者も作りましたが、所要時間20分で、しかも見栄えが良く、イチゴの赤が生クリームの白に映えて、写真写りが最高でした。
お返しは基本不要 しかし気になるなら1/3~半額の内祝いを
五月人形を買ってもらったり、ご祝儀をもらった場合、お礼はどのようにすれば良いのでしょうか。
基本的に、初節句祝いのお返しは不要とされています。しかし、現実にはお返しをする風潮にあります。
したがって食事会に招いてお礼の代わりにするか、「内祝い」として品物をお贈りしましょう。
最近では「内祝い=お返し」という風潮が強くなってきましたので、この内祝いをもってお返しの代わりにすると良いでしょう。
内祝いの金額は、いただいたお祝いの1/3~半額程度が妥当でしょう。
食事会に招待した場合は、1/3以下でも良いでしょう。五月人形や鯉のぼりなど、高額のものをいただいた場合は、子どもの名前が入った時計やフォトフレームなどを贈ると喜ばれますよ^^。
パールの名店MIKIMOTOでは、ほとんどの置時計やフォトフレームに文字入れができ、記念品に最適です。
さいごに
男の子がいるご家庭では、「端午の節句」はちょっとしたイベントの日となっているのではないでしょうか。
立派な兜を出し、鯉のぼりを立て、家族みんなで柏餅やちまきを食べる、楽しい日ですよね^^。
今回の記事を参考に、「この兜にはどのような願いが込められているのか」「今食べているちまきにはどんな歴史があるのか」を子どもに説明しながら過ごせば、端午の節句は更に奥深いものになること間違いなしですよ!
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