前回の小学校低学年向け自由研究に引き続き、今回は小学校高学年向けのテーマやまとめ方についてご紹介します。
興味の向くものを「観察」することに重きを置きがちだった低学年の自由研究とは違い、高学年の自由研究では、一定の結果や成果を導きだすことを意識する必要があります。
とはいえまだ小学生ですから、難しく考える必要はありません^^。
今回紹介する構成にそって、道筋をたてれば、論理的な論文に仕上がると思います。
それでは早速ご一緒に見ていきましょう!
・【実例写真付き♪】自由研究 小学生低学年におすすめのテーマは?書き方とまとめ方のコツ
自由研究 高学年向けのネタ、テーマは?
一般的に、自由研究は大きく分類するならば、「理科系」と「社会系」に分けられます。
ここでは、それぞれの分野から小学校高学年にオススメなものを2テーマずつご紹介していきます。
ただし、ここで注意!
地域によっては社会系の自由研究がコンテストの対象外になっていることもあります。
せっかく頑張って力作に仕上がったのに後でがっくりすることになってしまったら悲しいので、学校からの案内をよく確認してからテーマを決めてください。
理科系の自由研究:自宅で簡単にできる実験をしてみよう!
テーマ1:手作りリトマス試験紙で、家庭にあるもののph.を調べてみよう!
水溶液の性質(酸性・アルカリ性・中性)については、一般的に6年生で習います。
リトマス試験紙を使った実験も同様です。
したがって、この自由研究は6年生におすすめの内容ですが、科学に興味を持っているのであれば、5年生でも十分理解できる内容だと思います。
学校で未修の場合には、「酸性・アルカリ性とはどのような性質か」というところから調べていきましょう。
用意するもの
・紫キャベツ
・キッチンペーパー
・無水エタノール
※無水エタノールは、薬局で購入できますが、通販でも購入可能です。
リトマス試験紙の作り方
2、無水エタノールの色が紫色になったら、耐熱容器ごと取り出し、ざるで濾して無水エタノールだけ取り出します。
3、キッチンペーパーを適当な大きさに切り、紫色に染まった無水エタノールに浸け、よく干します。これでリトマス試験紙の出来上がりです。
実験手順
リトマス試験紙をたくさん作り、家じゅうの水溶液が酸性かアルカリ性かを調べましょう。
レモン水(酸性)、石鹸水(アルカリ性)をはじめとして、コーヒー、お茶、ジュース、みそ汁など、思いつくものは何でも調べてみると良いでしょう。
身の回りのものの性質をまとめ、その強弱を色で表現してください。
絵の具を混ぜ合わせて塗り、リトマス試験紙の色がどの程度変わったかを記録しましょう。(ピンク色だから弱酸性、真っ赤だから強酸性など)
なお、紫キャベツにはアントシアニンという物質が含まれており、この物質が酸性やアルカリ性に反応して変色を起こします。
注意事項
- 紫キャベツで作ったリトマス試験紙は、色の変わり方が普通のリトマス試験紙と異なります。
酸性が強いほどピンクから赤に、アルカリ性が強いほど緑から黄色に変化します。 - 無水エタノールの扱いに注意してください。肌についたまま放置しておくと、肌荒れの原因になります。
かならず保護者がいるところで実験するようにしてください。
テーマ2:色々な状況下で野菜を栽培してみよう
【用意するもの】
・成長の早い野菜の種(カイワレ大根、緑豆もやし、豆苗、ブロッコリスプラウトなど)
・プランター
・野菜用の土
・水耕栽培用のトレー(ペットボトルをカットしたもので代用可)
・脱脂綿
色々と条件を変えて野菜を栽培し、育ち方の違いをまとめます。条件は自宅の環境を考え、できる範囲でバリエーションを増やしましょう。
・日当たりの良い屋外
・日陰の屋外
・箱をかぶせて完全に日光を遮断した屋外
・日当たりの良い屋内
・日当たりの悪い暗い屋内
このような条件下で、プランターを使って土で栽培する場合と、トレーに脱脂綿を敷き詰めて水耕栽培する場合とで、発芽や成長のスピード、葉の色や硬さ、茎の太さなどを観察します。
毎日の天候や気温なども記録しておきましょう。成長具合を写真に撮っておくと、あとでまとめるときに役立ちます。
栽培を始める前に、それぞれの成長にどのような違いが出るか予想しておき、その予想に対して実験結果はどうであったか結論づけると、より論文らしくなります。
なお、全ての野菜が同じような条件を好むとは限りません。例えば、もやしは太陽光の届かない条件の方が早く成長します。
このように、さまざまな条件下での成長の違いだけでなく、種類ごとの性質も比較したらおもしろいですね。
成長の比較には折れ線グラフを用いると、視覚的にとても効果的です。(縦軸が高さ、横軸が日数など)
社会系:身近なものと社会とのつながりを考える・社会福祉に対する理解を深める
テーマ3:普段食べているものの産地を調べよう
普段食卓で何気なく食べているものの産地を調べましょう。スーパーで購入する肉、魚、野菜には産地の表示がついているものがほとんどです。
子どもと一緒に買い物に行き、よく家庭で食べる食材はどこでとれているのか、調べて一覧表にしましょう。
また、産地にまつわるデータを併せて調べましょう。
例)
・マグロの産地:インドネシア
インドネシアは世界で一番マグロ漁獲量の多い国で、インドネシアにとって日本は最大のマグロ輸出国である。
・牛肉の産地:アメリカ
現在日本の牛肉輸入元第二位のアメリカだが、2000年初頭に狂牛病が発生して、一時期全面輸入禁止だったことがある。
・イワシの産地:千葉県
千葉県の銚子漁港は長年イワシの水揚げ量日本一として有名だが、地球温暖化の影響で年々漁獲量が減少している。
・キャベツ:群馬県
キャベツは収穫時期で生産地が偏る傾向がある。冬キャベツは愛知県産が最も多く、春キャベツは群馬県産が最も多い。
また、日本から海外へ輸出している農林水産物を調べてみると、日本のどんな食材が世界で人気なのかが分かり、とてもおもしろいですよ。
テーマ4:AEDの普及状況を調べる
AEDとは”Automated External Defibrillator”の略で、日本語では自動体外式除細動器と言います。心停止した際に、機械が自動的に解析を行い、必要に応じて電気ショックを与え、心臓を正常な状態に戻すための機械です。
2004年7月から医療従事者でなくても扱えるようになり、駅や公共の建物内で見かけるようになりました。しかし未だに、身近の建物のどこに設置されているか、はっきり覚えている人は少ないかもしれません。
これではいざというときに活用できませんよね。そこで、AEDの普及状況を調べ、今後の課題に言及してみてはいかがでしょうか。
身近な駅や建物でAEDを探してみましょう。日本救急医療財団がAEDマップを作成し、ウェブで公開しています。これを活用して当たりをつけても良いですが、駅員やデパートの係員などに聞き込みするのも勉強のひとつです。
時間的余裕があれば色々な方の話を聞いてみましょう。
フィールドワークでは以下の点を確認し、今後の課題まで掘り下げて考えてみましょう。
・AEDは心停止から5分以内に除細動ができる配置か
・誰もがアクセスできる場所か
・AED設置場所が周知されているか(目につきやすい場所か)
この自由研究は、フィールドワークとデスクワークの両方を行います。あまり歩いて探し回ることが好きではない子どもには不向きですので、よく子どもの意思を確認してみてくださいね。
高学年の自由研究のまとめ方は?
小学校低学年のころより内容は高度になっても、基本的な構成は変わりません。
2、研究の動機
3、研究方法の説明
4、実験・調査・観察の結果
5、まとめ・考察・感想
6、参考図書・資料
※詳しくは小学校低学年向け自由研究の記事の中で自由研究のまとめ方を詳しく説明していますので、ご一緒に一読してみてください^^。
ただし、もう高学年ですから、参考図書から引用した場合は、引用先を明らかにするようにしてくださいね。
高学年向け自由研究の上手なまとめ方
パソコンを使ってまとめた場合はA4にプリントアウトを
学校によっては小学校低学年からパソコン講習に力を入れているところがあります。先生に確認し、パソコンでの研究論文作成にOKが出たら、積極的に活用してみましょう。
紙の大きさはA4サイズが基本です。左右に2.5~3cm程度、上下に3~3.5cm程度の余白をとり、文字の大きさは11~12ptが良いでしょう。
ただし、学校が手書きを推奨していたり、子どもにとって負担となる場合は、模造紙や画用紙にまとめても良いでしょう。
大切なことは「読みやすさ」です。自分の書いた研究論文をじっくり読んでもらえるよう、工夫してくださいね。
まずは見出しを立ててから書こう
全体の構成を考えずに、上から順に書いていくと、まとまりのない論文になってしまいます。
まずは各章の見出しだけを考え、全体のイメージをつかんだうえで、見出しの内容から外れないようにテキストを埋めていきましょう。
骨子→詳細は、他の論文を書く際にも大原則です。タイトルは最後に決めると、全体を包括するようなものにしやすいですよ。
グラフを活用しましょう!
算数の授業で習ったグラフは積極的に使い、視覚効果を狙いましょう。
それぞれのグラフは、一般的に以下の学年で習います。
・折れ線グラフ:4年生
・円グラフ:5年生
さいごに
低学年のうちは簡単なテーマであっても、子供らしく微笑ましいと思われてきたのに、高学年になると急に高度さを求められるようになり、子ども自信も戸惑ってしまうのではないかと思います。
よく「小4の壁」と言いますが、この頃から学校の勉強が嫌いになる子も少なくありません><。
子どもが自由研究に積極的に取り組み、調べる楽しさ、結果を得たときの喜びを実感できるよう、テーマは子供の主体性を尊重して選んでくださいね!
有効な実験方法を調べたり、まとめ方を指導したりと、ある程度は親の介入があっても仕方ないとは思いますが、テーマは子どもの興味を第一に考えるようにしましょう。
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